20世紀の建築に革命をもたらしたル・コルビュジエの思想の影響を受けて、日本でも森ビルをはじめとして「建物を高層化することで地面に緑地を生み出す。これが防災上も望ましい理想的な建築・都市計画だ」という思想が根強く存在している。これは「土地の有効活用」というマジックワードや「コンパクトシティ」といった構想とセットになり、また都市再開発における事業費捻出の事情ともあいまって、「防災を考えて高層ビル化する再開発をする」というのがどの都市でも無条件に採用されている。
そして、現在は耐震性も高まっており、建築中のあのスカイツリーでさえ何の被害も受けていない(東京タワーはてっぺんのアンテナが曲がったが)。
しかし、今回の大震災で高層・超高層住宅の意外な脆弱性が見つかった。建物は倒れないかもしれない。しかし、「高い」ということが理由で帰宅難民が発生したのだ。
わたしの知っているある社長は都内の高層住宅に住んでおり、およそ40階のところに自宅を購入したところだった。ところが大震災の日に停電でエレベーターが動かず、建物の下までは帰り着いたものの自宅まで昇れなくなってしまったのだ。40階まで階段を歩くことを断念して、その日は外で泊まったという。
別の人は渋谷で2時間以上エレベーターに閉じ込められたという。その間携帯もつながらず、2時間後に脱出してようやく震災があったことを知ったという。
高層建築においては、「高さ」そのものが脆弱性と考えられるのではないだろうか。液状化などのことも考えれば、わたしはたとえば豊洲あたりの高層住宅など決して住みたくないと思う。
今後、日本は数十年以内に確実に少子高齢化で人口半減時代を迎える。むしろ土地は余る時代がやってくる。そのときに老人となっている我々自身のことを考えても、高層よりも低層の方がずっと適しているということになるだろう。コンパクトシティ構想においても、中心街に住居を集めるとしても高層化の必要性はなくなっていく。
防災対策としても、個々の建物の耐震・防火性能を高めてあれば、必ずしも道を広くしていく必要もない。
ル・コルビュジエ以来の20世紀型の高層化崇拝建築思想は、この大震災をきっかけに見直されることになろう。
おおおお同感\(^o^)/